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最高裁判所第二小法廷 昭和34年(す)257号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

理由

記録によれば、請求人吉田石松は同人に対する強盗殺人被告事件について大正三年七月三一日名古屋控訴院が有罪の言渡をした確定判決に対し、弁護人池田輝孝、石島泰外一五名を選任して名古屋高等裁判所に再審の請求をしたこと、同高等裁判所は右再審の請求は理由がないとして刑訴四四七条一項により決定でこれを棄却したこと、右弁護人池田輝孝、同石島泰は名古屋高等裁判所の決定は不服であるとし、該決定に対して最高裁判所に即時抗告の申立をしたことが明らかである。

刑訴四四七条一項の再審請求棄却の決定に対しては、即時抗告をすることはできるが(同四五〇条)、一般に高等裁判所の決定に対しては、抗告(即時抗告を含む)をすることはできないから(同四二八条一項)、本件原決定の如く高等裁判所がした再審請求棄却の決定に対しては、同四二八条二項によりその高等裁判所に異議の申立をすることができるのは格別、最高裁判所に即時抗告をすることはできないものというべく、本件即時抗告の申立は不適当である。(仮りに本件即時抗告の申立を同四三三条の規定による特別抗告の申立とみるとしても、右特別抗告は刑訴法により不服を申し立てることができない決定に対して特に定められた抗告であるところ、高等裁判所がした再審請求棄却事件に対しては同四二八条二項により即時抗告に代る不服申立の方法としてその高等裁判所に異議の申立をすることができるのであるから、特別抗告の申立としても不適法である。)

よって同四二六条一項により本件抗告を棄却すべきものとし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田 克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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